平屋とは、一階部分のみでできた建築物のことです。住宅の場合、基本的に階段を設けず、リビングや寝室、キッチンなどすべての部屋をワンフロアに集約させた住まいを指します。
かつて日本の家屋は、平屋が一般的でしたが、人口増加や地価の上昇による影響などから、現在は二階建てが主流です。しかし近年、再び平屋の建築数が増え始めています。国土交通省の建築着工統計調査によれば、2011年から2023年の期間で、一年間に建つ平屋住宅の数と割合が、ともに2倍以上に増加していることがわかりました。以前と比べ、平屋の性能やデザイン性もアップしているといわれているのです。

近年人気が高まっている平屋には、理想の住まいにつながる以下のメリットがあります。

・生活や家事動線の効率化を図れる
・バリアフリーが叶う
・家族間でのコミュニケーションが増える
・光熱費やメンテナンス費の削減が期待できる

平屋はワンフロアにすべての部屋が配置されているため、生活・家事動線をコンパクトにできます。上下階を行き来する必要がないため、家事などの負担軽減につながります。また、段差が少ないことで、小さなこどもや高齢者がいる家庭にもやさしいバリアフリーな住まいが実現可能です。さらに、廊下が少ない傾向がある平屋では、部屋間の距離が近く、家族同士の会話が増えるでしょう。
加えて二階部分のない平屋は、上下階で室温に差が出ることがなく、冷暖房効率がよいのも魅力です。建築後に発生するメンテンナンスも一階部分のみで済み、工事の際の大掛かりな足場も不要なため、コストカットにつながります。

魅力的なメリットが豊富な平屋ですが、一方で以下のようなデメリットもあります。

・風通しや日当たりが悪くなる場合がある
・防犯対策・プライバシーの保護を要する
・固定資産税や建築コストが高額になりやすい

平屋では、部屋数が多い場合に、中心に近い部屋の風通しや日当たりが悪くなることが考えられます。加えて二階部分がないことで、外からの視線が届きやすく侵入もされやすい平屋では、防犯対策やプライバシー保護が欠かせません。さらに同じ延べ床面積の場合、二階建てに比べて平屋の方が基礎部分や屋根の面積が大きく、より高い工事費用がかかります。土地の広さや建材量の多さから資産価値が高く評価され、固定資産税も高額になりやすいでしょう。そのため、総合的に建築コストが高額になる傾向があるのです。

＞＞参考コラム：奈良県で注文住宅を建てる相場は？奈良市などで予算に合った家づくりを！

続いて、平屋と災害の気になる関連性を解説します。いつ起こるかわからない地震や水害などに備えて確認しておきましょう。

建物の高さが低く重心が安定している平屋では、地震や強風による揺れの影響を受けにくい傾向があります。上階の重さを一階で支える必要もありません。また、地震や強風による外部からの力が加わった際、四角形などのシンプルな構造が多い平屋では、建物に伝わる振動が分散されやすく、倒壊リスクが低いのです。

地震や台風に強い平屋ですが、一方で水害には弱いといえます。なぜなら、平屋が浸水した場合、住宅全体に被害が及ぶからです。また、上階のない平屋では垂直方向の避難が難しく、水害時に自宅での安全確保が困難でしょう。平屋を建てる際は、ハザードマップで地域の安全性を事前に確認しておくことが大切です。

＞＞参考コラム：香芝市で新築を建てるなら水害リスクについて学ぼう！対策のポイントも解説

ここからは、これまで解説した注意点への対策も含め、平屋の注文住宅を建てる際に取り入れたい工夫を紹介します。

平屋を建てるためには、ある程度広い土地が必要です。土地探しには、建ぺい率などの制限を踏まえたうえで間取りを考えたり、ハザードマップで災害リスクを確認したりと、正しい判断が求められます。土地を探す段階から工務店やハウスメーカーに相談すれば、理想の住まいに見合った物件が見つかるでしょう。

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日当たりや風通しは、窓の位置やサイズの他、間取りによっても改善できます。たとえば天窓や吹き抜けを設置したり、中庭のあるコの字型やL字型などの間取りを設計したりといった工夫が可能です。また、水回りをまとめるなど、家事動線の効率化を図れる間取りを取り入れましょう。

平屋の家づくりでは、収納の確保にも工夫が必要です。フロア内の収納スペースが足りない場合、屋根裏の空間を活用するとよいでしょう。収納が足りている場合には、屋根裏をロフトとして活用するのもおすすめです。平屋では難しい、プライベートスペースの確保にも役立ちます。

外部からの視線が届きやすい平屋では、外構にこだわることが防犯対策につながります。たとえば、目隠しかつアクセントになるフェンスや防犯砂利、センサーライトを取り入れるとよいでしょう。とくに防犯性を高めておきたい寝室などの窓では、防犯ガラスの使用や可動式ルーバーの設置も有効です。
また、室内干しができるスペースを設けておけば、プライバシーの保護に役立ちます。

最後に、奈良県内で平屋を建てるのにおすすめの地域とその土地坪単価を紹介します。なお、土地坪単価は、国土交通省による2024年の地価公示のデータをもとに算出しました。

香芝市のなかでも、旭ケ丘周辺は生活の利便性と水害リスクの低さを兼ね備えており、平屋の建築に向いています。JR志都美（しずみ）駅や近鉄二山（にじょう）駅の他、香芝インターチェンジにもアクセスしやすく、各方面に足を伸ばしやすいエリアです。またオークワ香芝逢坂（おうさか）店、コーナン香芝旭ケ丘店、ユニクロ香芝店など、商業施設も充実しています。さらに、香芝市立旭ケ丘小学校や香芝北中学校、香芝旭ヶ丘病院など、教育・医療施設も揃っており、子育て世帯も住みやすいでしょう。
香芝市は五位堂駅周辺エリアでは土地坪単価が約31万～49万円と高くなる傾向がありますが、その他の地域では、およそ18万～29万円とそこまで高価ではありません。旭ケ丘の公示地価も28万円ほどとなっています。

参考元：香芝市｜香芝市総合防災マップ 全体地図
参考元：香芝市｜大和都市計画地区計画の決定（香芝市決定）
参考元：国土交通省 不動産情報ライブラリ｜国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索

葛城市は、東洋経済新報社が全国の市区を対象におこなう「住みよさランキング」で、6年連続で奈良県1位に選ばれています。県内の他の地域と比べ、土地坪単価が約9万～26万円と低い傾向があるところも葛城市の魅力のひとつででしょう。
とくに忍海駅の西側エリアは、洪水のリスクが小さいエリアです。オークワ葛城忍海店の他、キリン堂南花内店やファッションセンターしまむら新庄店といったドラッグストアや衣料品店も充実しており、利便性にも優れています。

参考元：葛城市｜「住みよさランキング2024」奈良県で6年連続第1位・全国第46位
参考元：葛城市｜葛城市地域防災マップ 9-忍海・薑・西辻・脇田・南新町
参考元：国土交通省 不動産情報ライブラリ｜国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索

生駒市は、日経BP総研による「シティブランド・ランキング―住みよい街2023―」において、奈良県内1位、全国14位に選ばれています。なかでも、学研奈良登美ヶ丘駅周辺は、生駒市のハザードマップにおいて浸水リスクが小さく、生活の利便性も高い地域です。駅前にイオンモール奈良登美ヶ丘がある他、いそかわイトーピア店もあり、買い物には困りません。生駒市立鹿ノ台（しかのだい）小・中学校にも通いやすいでしょう。
県内において、土地坪単価はそこまで低くありませんが、隣接する奈良市よりは安価な傾向があります。学研奈良登美ヶ丘駅付近で公示地価を比較すると、奈良市では土地坪単価がおよそ35万円なのに対し、生駒市では約25.5万円となっています。

参考元：生駒市｜土地災害・洪水ハザードマップ（WEB版）
参考元：国土交通省 不動産情報ライブラリ｜国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索

＞＞参考コラム：奈良県全域の土地価格は？公示地価や売買事例、おすすめエリアをご紹介

平屋は、快適な暮らしを叶えるメリットが豊富です。デメリットの対策をきちんとすることで、自然災害や犯罪リスクに対する不安も軽減できるでしょう。奈良県および香芝市は、利便性が高く、土地坪単価も手の届きやすい地域が豊富です。平屋の注文住宅を検討する際は、ハザードマップを確認するようにしましょう。
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